大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和25(れ)1776 判決

主 文

本件各上告を棄却する。

理 由

弁護人池邊甚一郎上告趣意は末尾に添附した別紙書面記載の通りである。

第一点、第四点について。

原判決第一の(二)の(イ)(ハ)(ニ)及び第二の(三)、(四)の各犯罪事

実については、被告人の自白の外被害者の盗難被害始末書等の補強証拠があるが、

その余の判示事実については被告人の自白のみが証論とされていることは所輪の通

りである。しかし被害顛末書は自白の補強証拠にならないという主張は独自の見解

にすぎないから採用できないばかりでなく、所論被告人の自白は原審公判廷におけ

る自白であるからこれを唯一の証拠として事実を認定しても憲法第三八条三項に違

反しないということは当裁判所の判例とするところである。従つて所論違憲の主張

は採用できない(昭和二三年(れ)第一六八号同二三年七月二九日大法廷判決)。

第二点について。

証人その他の者の供述を録取した書類又はこれに代るべき書類を証拠とするには

被告人の請求があつた場合はその供述者又は作成者を公判期日において訊問する機

会を被告人に与えることを必要とするが、被告人側からかかる証人の訊問請求がな

い場合においては裁判所は義務として現実に訊問の機会を被告人に与えなければこ

れ等の書類を証拠とすることができないものと解すべきものではなく、また被告人

の請求がない場合においてかかる証人の訊問をなさずにこれ等書類を証拠としても

憲法第三七条に違反するものでないことは当裁判所判例の示すところであるから論

旨は採用できない(昭和二三年(れ)第一六七号、同二三年七月一九日大法廷判決)。

第三点いについて。

被告人の申請にかかる証人を取調ぶべきか否かは原審の自由に決し得べきことが

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らである。従つて原審においてその必要なしと認め所論証人の取調をしなかつたこ

とは何等の違法はなく論旨は理由がない。

第五点について。

刑の執行を猶予すべきか否かは原審の自由に決し得べきことである。従つて原審

において被告人を執行猶予にしなかつたとしても違法はない。従つて論旨は理由が

ない。

よつて旧刑訴四四六条により主文の通り判決する。

以上は自白に関する裁判官井上登の少数意見を除き裁判官全員一致の意見である。

裁判官井上登の少数意見は昭和二三年(れ)第一六八号同年七月二九日大法廷判

決に記載の通りである。

検察官 十藏寺宗雄関与

昭和二六年三月二七日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 長 谷 川 太 一 郎

裁判官 井 上 登

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

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